内科【生活習慣病】
糖尿病
糖尿病とは血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がる病気です。
血糖値が高くてもすぐに問題となることはあまりありませんが、数年間続くと全身の血管を障害して合併症をひきおこす可能性が高くなります。
この合併症を防ぐために血糖値を下げることが糖尿病の治療の目的です。
糖尿病の合併症
- 糖尿病性神経障害
- 両足がしびれたり、立ちくらみがしたり、眼の動きが悪くなったり、便秘になったりと障害を受ける神経によって症状はさまざまです。血糖値が高い状態が続くとおよそ5年で現れます。
→DPN(糖尿病性末梢神経障害)検査
- 糖尿病網膜症
- 気付かない間にだんだん視力が低下し、最悪の場合失明します。視力が落ちたので眼科で検査を受けたら糖尿病が見つかったという方もみえます。高血糖のために眼底の血管が障害されることが原因です。血糖値が高い状態が続くとおよそ7~10年で現れます。
→糖尿病網膜症
- 糖尿病性腎症
- 尿検査でタンパクが出るようになったり、足や顔がむくむようになったりします。高血糖のために腎臓の糸球体が壊れてしまうことが原因です。血糖値が高い状態が続くとおよそ10~13年で腎不全となり人工透析が必要な体となってしまいます。
- 心筋梗塞・狭心症
- 心臓の冠動脈が高血糖のために閉塞し、心臓の筋肉に栄養がいかなくなり動けなくなります。ある日突然激しい胸の痛みにおそわれます。
- 脳梗塞
- 脳の血管が高血糖のために閉塞し、脳細胞が死んでしまいます。脳梗塞の範囲が広いと手足が動かなくなったりろれつがまわらなくなったりして後遺症が残り生活に大きな支障となってしまいます。介護が必要になったり、死に至ることもあります。
- 足病変
- 血糖値が高い状態が続いて足などの血行や神経に障害が起こると、痛みなどに対する感覚が鈍くなります。足に水虫や小さな傷などがある場合、その傷に気づかずに放置することになり、細菌感染が広がって皮膚潰瘍(何らかの原因で皮膚に穴があくこと)や壊疽(えそ)が起こります。
- これらは足に起こることが多く、重症化すると足を切断しなければならないこともあります。
→血圧脈波検査
- 歯周病
- 血糖値が高い状態では菌の増殖を抑える力が弱っているため、歯周病の重症化がしばしばみられます。歯周病は心筋梗塞などの動脈硬化性疾患や感染性心内膜炎、呼吸器疾患などの誘因にもなるため、注意が必要です。
- また、歯周病は、網膜症、腎症、神経障害、足病変、大血管障害に続く、糖尿病の6番目の合併症といわれるほど、糖尿病に多くみられる疾患です。
糖尿病の検査
糖尿病は、1~2ヵ月の血糖値の変動を反映したHbA1c値や空腹時や食後の血糖値などの検査値を組み合わせて診断します。
- 検査
- 血液検査にて、血糖値・HbA1cなどを測ります。大切なことは糖尿病が原因となり、どのくらい動脈硬化が進行しているかを見極めた上で治療につなげていくことです。そのために動脈硬化の検査を受けましょう。
→血圧脈波検査
→頸動脈エコー
脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症とは、コレステロールや中性脂肪(TG)が基準値以上に増加した状態を言います。国のガイドラインでは高LDLコレステロール血症、高TG血症、低HDLコレステロール血症の基準値をそれぞれ設定し、いずれかに異常があれば脂質異常症と呼んでいます。
- 症状
- 自覚症状がなく健康診断などで偶然見つかる場合がほとんどです。しかし、家族性高コレステロール血症などでは特有の症状がみられることがあります。
脂質異常が長く続くと、動脈硬化を引き起こし心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。
- 悪玉コレステロールが多くなると、どうなるの ?
- コレステロールは本来、細胞を形成する成分として必要な物質ですが、過剰な状態が長く続くと動脈硬化の原因となります。自覚症状がないため、放置しておくと、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす原因となります。
- 原因
- 脂質異常症は、体質・遺伝子異常に基づいて発症する原発性と、不適切な食事摂取、運動不足などに基づいて発症する続発性に分けられます。
・不適切な食事摂取
・過剰な飲酒
・運動不足
・二次性の病気
糖尿病、甲状腺機能低下症、肥満症、メタボリックシンドローム、ネフローゼ症候群、脂肪肝、痛風・高尿酸血症などが原因となる場合があります。
- 検査
- 血液検査にてコレステロール値を測ります。
そして大切なことは動脈硬化度の進行を見極めるための動脈硬化の検査を受けることです。
- LDLコレステロールの値が高いとどのくらい心筋梗塞の発症リスクが高くなる?
- LDLコレステロールが、80mg/dL未満の人とくらべると、140mg/dL以上の人では、心筋梗塞の発症リスクが約4倍に増えます。
そのため、ご自身の LDLコレステロール値を把握し、高ければ下げる必要があります。
- 治療
- 食事療法や運動療法などの生活習慣改善を中心に薬物治療を行います。薬物治療は脂質異常症が発見された時点から食事療法、運動療法を数ヶ月間行い、十分に改善しない場合には、薬物療法が考慮されます。動脈硬化度より早急に薬物治療をした方がいいかどうかを判断させていただいています。
高血圧症
現在、日本には約4300万人の高血圧者がいると推定されています。
高血圧症は日本人成人の3人に1人が患者であるといわれいる国民病です。血圧が高い状態が続いていても、ほとんど症状を感じることはありません。
そのため、健康診断などで「血圧が高い」といわれても、放置している方が多く見受けられます。しかし、「症状がない」ということは、「血圧を放置してよい」という理由にはなりません。高血圧によって動脈硬化が引き起こされると、血管の壁が厚くなり、血液の流れが悪くなり、さらに高血圧がひどくなるという悪循環に陥ります。
こうなってしまうと命にかかわる心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などの重大な病気をひき起こしてもおかしくありません。
- 内容・症状について
- 血圧とは、全身に酸素や栄養を届ける血液を、心臓のポンプ作用によって全身に送り出すときに生じる「血管にかかる圧力」のことです。高血圧は、心臓から送り出される血液の量が多くなったり、血管が細く狭くなり血液の流れが悪くなったりすることで、血圧が高くなる病気です。
- 高血圧には、原因がはっきり分からない「本態性高血圧」と腎臓やホルモン異常などが原因で起こる「二次性高血圧」があります。二次性高血圧の場合は原因疾患を先に治療する必要性があります。しかし高血圧の大部分を占めるのは本態性高血圧です。これは遺伝的な素因に肥満や運動不足、塩分の摂り過ぎなどの悪い生活習慣が加わって起こるといわれますが、今のところ原因は分かっていません。
- 血圧が高いとどうなるの?
- 高血圧を放置すると、動脈硬化が進行し死亡や寝たきりの原因になる脳卒中や心疾患、あるいは腎臓の機能が低下する腎臓病などの重大な合併症につながります。また、高血圧は自覚症状がないことも多く、知らないうちに合併症が進行してしまうこともあります。
- 高血圧の状態が続きますと高血圧眼底といって目の網膜や血管を傷つけていきます。
- 高血圧の診断基準
- 2019年に高血圧治療ガイドラインが変更になりました。従来考えられていたよりも低い状態に保った方が、合併症を予防することがわかりました。高血圧が持続することで、脳梗塞や脳出血のリスクが約40%、心筋梗塞のリスクが約15%高まるといわれています。多くの人は、病気になってから「あのとき注意すればよかった!!」と後悔しますが、あとの祭りです。 脳梗塞は、一度起こしてしまうと麻痺など重大な後遺症をともなうため、それまでの生活を一変してしまいます。
- 高血圧症の検査
- 血圧脈波検査、頸動脈エコーにて動脈硬化度を測定します。
- 血圧測定と高血圧診断手順
*1診察室血圧と家庭血圧の診断が異なる場合は家庭血圧の診断を優先する。自己測定血圧とは、公衆の施設にある自動血圧計や職域、薬局などにある自動血圧計で、自己測定された血圧を指す。
*2自動行為下血圧の高血圧基準は、24時間平均130/80mmHg以上、昼間平均135/85mmHg以上、夜間平均120/70mmHg以上である。自動行動下血圧測定が実施可能であった場合、自由行動下血圧値のいずれかが基準値以上を示した場合、高血圧あるいは仮面高血圧と判定される。またすべてが基準値未満を示した場合は正常あるいは白衣高血圧と判定される。
*3この診断手順は未治療高血圧対象にあてはまる手順であるが、仮面高血圧は治療中高血圧にも存在することに注意する必要がある。
- 血圧を測る習慣をつけましょう
- まずは毎日、自宅で血圧を測る習慣をつけてください。自分の血圧の状態を知ることがスタートです。指や手首で測るものよりも、上腕で測るもののほうが正確な値を知ることができます。血圧は測る時間や状況によって大きく左右されるため、毎日1~2回、決まった時間に測るようにします。一般的には、起床後1時間以内で朝食前と寝る前に測定するとよいでしょう。また必ず座って「測定部と心臓の高さを同じ」状態にして測定してください。
- 血圧を下げるには何をしたらいいの?
- 高血圧の治療の中心となるのは、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つです。このうち、食事療法と運動療法は、すべての高血圧の患者さんが最初に取り組む治療であるとともに、長期にわたって続けていく治療の基本でもあります。この2つの治療法を行っても血圧の調節が難しい場合やその他の病気がある場合は、薬物による治療も行われます。
- 食事にも気を付けましょう
肥満と肥満症
- 肥満とは?
- 日本では、BMI25以上を肥満と定めています。BMI22のときの体重が最も死亡率・有病率の低いことが知られています。
- 肥満症とは?
- 肥満症は、肥満に起因ないし関連する健康障害(表1)を合併するか、その合併が予測されている場合で、医学的に減量を必要とする病変をいいます。
表1 肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害
1. | 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など) |
2. | 脂質異常症 |
3. | 高血圧 |
4. | 高尿酸血症・痛風 |
5. | 冠動脈疾患:心筋梗塞・狭心症 |
6. | 脳梗塞:脳血栓症・一過性脳虚血発作(TIA) |
7. | 脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患/NAFLD) |
8. | 月経異常、不妊 |
9. | 睡眠時無呼吸症候群(SAS)・肥満低換気症候群 |
10. | 運動器疾患:変形性関節症(膝、股関節)・変形性脊椎症、手指の変形性関節症 |
11. | 肥満関連腎臓病 |
当院では、ダイエットのお手伝いをさせていただいております。管理栄養士が栄養指導させていただきます。
また、リハビリ室にて代謝をアップさせるα21を使用していただいたり、リカメントバイクにて運動していただきます。漢方薬などの内服薬を処方させていただき、場合によっては耳ツボダイエット鍼をさせていただきます。